90年代に子供だったアラサーに 「岡崎に捧ぐ」1・2巻感想
ずっと読みたかった「岡崎に捧ぐ」をようやく読んだ。
noteで第1話~3話を試し読みして、すぐ購入してしまった。
岡崎に捧ぐ
「岡崎に捧ぐ」は1985年生まれの山本さほ先生が描くエッセイ漫画。
試し読みしてもらえれば分かるけど、小学生の頃からの幼なじみとの日常を描いている。
女性作者だがゲームが趣味ということもあって、アラサー男子の思い出をビシビシ刺激してくる。80年代後半生まれの人なら直撃でノスタルジックな気分に浸れるはず。
87年生まれのぼくはドンピシャだった。ビーダマン、ぎゃおっぴ、ハム研、かみつきばあちゃん、大技林、バトルエンピツ、特ホウ王国・・・など、出てくるアイテムがいちいち懐かしい。
別に懐かしいだけのマンガではなくて、作者の山本さんと岡崎さんの友情のお話。たぶん。
感想
あのころ、初めて行く友達の家の「異文化感」みたいなのってあったなあ。自分の家の常識が通用しない違和感というか。
おじいちゃんがめちゃ怖かったり、トイレが変な構造だったり。子供にとっては自分の家が世界のすべてみたいなもんだから、衝撃なんよね。
岡崎さんの家ほど強烈なのは無かったけれど。
岡崎家のネグレクト的な問題も作者はさらりと書き流して、大したことに感じさせない。ぜんぜん重くならない。「岡崎に捧ぐ」なんて大仰なタイトルからは想像もできないほど軽やかなギャグで笑ってしまう。
でも岡崎さん自身はとても優しいイイ子。むしろ作者のエキセントリックな言動にびっくりする。
「ときメモ」の話と剣道部の話大好き。声出して笑った。
夏祭りの話は胸が苦しくなった。
女性作者のエッセイ漫画って、思春期特有のごちゃごちゃした感情とか、「痛々しさ」みたいなものを描くのが上手いなあと思う。東村アキコとか。
美化された思い出だけじゃなくて、黒歴史まで思い出してしまって恥ずかしくなる感じ。
「第2のさくらももこ」と言われる作者だけど、この作品は「ちびまる子ちゃん」のようにループしてはない。第1巻が小学生編、第2巻が中学生編と着実に現在に近づいている。
今後はますます2人の友情がテーマになりそうで、1巻冒頭のシーンにたどり着くまでに何度も感動させられそうな気がする。
1巻のあとがきもとても良かった。
今思うと子供の頃の私は岡崎さんの優しさに気づけないことが多かった。今でも気づけていないことは多いかもしれない。それでも岡崎さんは相変わらず優しい。
郷愁に浸れるだけじゃない、とても良いマンガです。
次巻も楽しみ。山本さんと別々の高校に行くことになった岡崎さんのメンタルは大丈夫なんだろうか。